重松清というと、家族物や素朴な人物を主人公として描くストーリー展開が
秀逸な方だという印象があります。
最近はそれ以外にもちょっとエロ路線な本なんかも発売されていますが、やはり彼の魅力を堪能するのにふさわしいジャンルは「
人の生き方に涙ホロリ」系のお話ではないでしょうか?
そんな気分を味わいたい方にオススメの一作が、これ。
いつも何も考えずとも自分のそばにいた人が、ある日突然そこから姿を消してしまう。
それも「死」という永遠の別れとして。
この本は幾つかの短編で綴られていきます。
ちょっと学校で煙たがられていた女の子とそのクラスメート。
何十年振りかに再開したかつての親友。
母子家庭で育った息子と、そのたった一人の母親。
そして結婚して20年を迎える幸せな夫婦。
最終章に至るまでの3章は今までの短編を随所に繋ぎ合わせながら、
お互いを慈しみあう夫婦がその妻を失うまでを綴ります。
夫婦は妻がこの世を去る日のことを「その日」と呼び、
その日を迎える前に2人がかつて生活を始めた思い出の地を巡り...。
最後の3章「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」に繋がる
それまでに語られてきた短編集ごとの悲しみの余韻が、
生きることの尊さや今生きていることの素晴らしさへと変化させられる事でしょう。
きっと読みながら読者の脳裏に浮かぶ事は、その人それぞれ。
でも確実に読み手にとって大切な人達のことを思い浮かべながら、
今の平穏な日々に対しての感謝の気持ちが溢れること、間違いありません。
切なく、哀しく、そして優しい気持ちになれる本です。
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